カラープリンターとしてEPSONのClorio EP-907Fを使ってたのですが、これが急に壊れました。壊れるときはいつも急ですが、考えてみればおかしな動きをするときもあって、寿命が近づいていたのかもしれません。突然のことでしたが、プリンターは消耗品ですし、そもそも価格が安いので、修理は考えずに買い替えを決断しました。
このColorio EP-907Fですが、かなりのお気に入りだったんで、壊れてしまったのが残念です。しかも、6色セットのインクを買ったばかりだったりします。まぁ、こういうときに故障するもんではありますが。
プリンター(複合機)に求める要件
プリンターとは言うものの、正確には複合機です。Colorio EP-907Fは、プリンター/スキャナー/コピー/FAXの1台4役の複合機です。さらに正確に言うと、インクジェット複合機。このインクジェット複合機に求める要件は以下のとおりです。
- できるだけ写真が高画質
- とにかくいろんなことができる
- FAXも付いてる
インクジェット複合機の進化は結構進んでいて、これまで使っていたColorio EP-907Fは上記の要件を満たす機種でした。写真の画質も満足いくレベルでしたし、必要にしていた便利機能はひととおり揃ってたし、当然FAXも付いてました。なので、かなりのお気に入りだったわけです。
最近の複合機の傾向
Colorio EP-907Fを購入した頃は、高画質・多機能の最高スペックの機種にFAX付きとそうでないのが存在する感じだったので、商品選びはそんなに難しくありませんでした。現在は少し状況が違っていて、まず大きく家庭向けとビジネス向けの2つに別れます。これに、それぞれ機能の味付けがなされているわけですが、おおむね以下の表のような構成になっているようです。
機能 | 家庭向け | ビジネス向け |
写真の画質 | とにかく高画質化 | あまり重要でない |
FAX | 設定なし | 設定あり |
そうなんです。写真の高画質印刷とFAXが両立しないんですね。これが現在の困った状況なんです。しかも、便利機能の中にはFAXにひもづいているものもあって、FAXをあきらめるとその便利機能も手放すことになってしまうんです。
どうやって商品選びするか
一番の問題は、写真の画質かFAXのどちらを取るかということになります。これらが両立することはないので、どちらかを選ぶしかありません。ここで重要になるのは、FAXなんて使わないでしょという問題です。これ、確かに使わないんですね。ただ、完全に世の中から消えたわけではなくて、いまだにいろいろなところに残存しています。
そういった状況を考えると、あれば便利なわけです。なので、手放すタイミングとしてはまだ早い気がしてますが、とりあえずインクジェット複合機の要件から外して考えることにしました。FAXについては、欲しけれりゃ別の方法を考えよということです。
A3印刷を考えてみよう
FAXを搭載しないことで、いくつか便利機能も手放すことになってしまいます。それだけだとくやしいので、今までにない新たな領域に踏み出したいと考え、A3印刷可能な機種を選んでみることにしました。少し前から、A3印刷可能な機種のバリエーションが増えてきたのに気づいていたので、ちょっと気になっていたわけです。
まず、A4印刷の機種と比べて価格はどうなのかという点が気になりますが、ざっと見た感じで5千円くらいしか違わないように思いました。これ、そんなに大きな差じゃないと感じてしまったので、それだけでA3印刷の機種を選ぶ決め手になりました。ただ、A3印刷対応と言っても、前面カセットにA3用紙を収納して印刷するわけでなく、A3印刷する場合は用紙を背面給紙することになります。また、スキャナーはA4までの機種が多く、このあたりに注意する必要があります。もっとも、価格差を考えたら、こういった制限は当然のことかもしれません。
2つの機種に絞って比較
各メーカーの製品もざっくり見てみましたが、EPSONから提供されているiPhoneアプリはそのまま使えるし、本体の操作感も変わらない方がよいので、EPSONの機種を中心に考え、最終的に2機種に絞って詳しく検討してみました。
機種名 | EP-979A3 | EP-10VA | |
機能 | コピー/スキャン/プリント | コピー/スキャン/プリント | |
対応用紙 | L判〜A3 | L判〜A3 | |
印刷方式/最高解像度 | MACH方式/5760×1440dpi | MACH方式/5760×1440dpi | |
インクタイプ | 6色染料・独立型 | 6色染料・独立型 | |
インクカラー | シアン | ○ | ○ |
マゼンダ | ○ | ○ | |
イエロー | ○ | ○ | |
ブラック | ○ | ○ | |
ライトシアン | ○ | ||
ライトマゼンダ | ○ | ||
レッド | ○ | ||
グレー | ○ | ||
接続方法 | 無線LAN | ○ | ○ |
有線LAN | ○ | ○ | |
USB | ○ | ○ | |
液晶モニター | 4.3型ワイド タッチパネル |
4.3型ワイド タッチパネル |
|
前面給紙 | 2段カセット | 2段カセット | |
背面給紙(手差し) | 1枚 | 写真用紙5枚 普通紙10枚 |
|
ディスクレーベル印刷 | ○ | ○ | |
自動両面印刷 | 標準対応 | 標準対応 | |
スキャナー解像度 | 主走査 | 4800dpi | 4800dpi |
副走査 | 4800dpi | 4800dpi | |
原稿台 | ○ | ○ | |
ADF | − | − | |
外形寸法 W×D×H |
収納時 | 479×356×148mm | 479×395×168mm |
使用時 | 479×668×295mm | 479×743×453mm | |
質量 | 約8.8kg | 約9.5kg |
違いを詳しく見ていきましょう。
基本的な違いは写真画質
EPSONで言うと、従来のColorioシリーズを標準画質の機種と位置付けて、高画質の機種をColorio V-editionシリーズとして展開しています。EP-979A3が標準画質のColorioシリーズで、EP-10VAが高画質のColorio V-editionシリーズとなります。画質のよさだけで選ぶなら、EP-10VAということになります。
画質のよさはインクシステムで
印刷解像度は同じなので、インクシステムで画質の違いを出しているようです。同じ6色の染料インクですが、EP-979A3で使っているライトシアンとライトマゼンダの代わりに、EP-10VAではレッドとグレーを使っています。レッドとグレーのインクを採用することで、赤色の鮮やかさアップと、モノクロ写真の表現力アップを図っているようです。残りの4色は同じ色ではありますが、当然のことながら性能の異なるインクですので、全体的に画質はアップしているのではないかと思います。
ちなみに、EP-979A3で使われるインクは、EP-907Fで使われるインクと同じものとなっています。現在主流のインクは、高画質であってもランニングコストを抑えるようになっているので、画質だけでなくコストも違ってきます。EP-979A3のインクは古い形式なので、ランニングコストは高いです。
背面給紙枚数が異なる
A3印刷の場合は、背面から手差しで給紙します。A3対応と言っても、これが現状のようです。やはりカセットに収めるとなると、きょう体が大きくなってしまうので、しかたないところでしょうか。A3印刷のニーズもそれほど多くないと思うので、現実的な形だと思います。
この手差し形式は変わらないのですが、EP-979A3は1枚ずつ、EP-10VAは最大10枚セットできます。この違いは、A3印刷する頻度や設置スペースの関係で判断が分かれるところではないかと思います。
ADFがない...
ADFとはAuto Document Feederの略で、日本語で言うと自動用紙送り装置とでも言うのでしょうか。これ、FAXとセットで取り扱われているようで、家庭向けのインクジェット複合機には搭載されなくなってしまってるんですね。EP-907Fは、FAXが付いているということもあるのですが、ADF付きです。
ADFで何ができるのかと言うと、FAX送信時はもちろんですが、スキャンやコピーのときも、一度の操作で複数枚を同時に処理できるんです。スキャンだと、複数枚同時に取り込んで、1つのPDFにできたりしますし、コピーも同じで、一度の操作でサッと大量のコピーが可能です。
確かに、これが必要な場面てそんなにないですが、1枚だけでも両面だったりすると便利なんですよね。EP-907FのADFは、両面読み取りにも対応してたので完璧でした。これを手放すのがもっとも後ろ髪を引かれます。
選んだのはEP-979A3
細かな違いはあるものの、ざっくり気になる違いだけだと画質とA3用紙の給紙枚数だけです。画質の違いとともにインクコストも違う点は考慮すべきポイントです。ただ、それほど大量に印刷するわけでもなく、先日購入した6色インクをそのまま使えるというプチメリットもありましたので、EP-979A3を購入しました。
インクがEP-907Fと同じということは、画質改善はほぼ望めません。ただ、画質に不満があったわけではないので、逆に言うとそのままでよいということになります。むしろ問題は価格差で、機能的な違いを考えると、EP-10VAのコスパが悪く思えてしまいました。
おそらく、EP-10VAはランニングコストを抑えるためにイニシャルコストが高くなっているような気がしますし、今後さらなる画質アップで新しいインクに切り替わっていくことも考えられるので、画質面は少し妥協することにしたわけです。
大きさはどうよ
EP-907Fと比べると、横幅については、A4対応だとA4用紙の短辺、A3対応だとA3用紙の短辺(=A4用紙の長辺)をカバーするので、どうしても長くなるのは避けられません。奥行きもそれなりに長くなっていますが、それほど気になりませんでした。高さに関しては、ADFがなくなったこともあり、かなり低くなりました。
全体的な印象は、高さが低くなったこともあって、それほど大きくなった感はありません。小型化が得意なEPSON製品でもあるので、これでA3印刷できちゃうのかという印象です。それと、動作音も小さくなりました。製品が新しくなればなるほど静かになるものですが、こういった進化も重要ですね。
使い勝手で見ると、EP-10VAはまったく劣る部分はないので、現在の最高画質を手に入れるならこちらを選ぶべきでしょう。画質はそこそこ高画質のEP-979A3を選びましたが、たくさん使い込んでみたいと思います。
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