後輩にオススメのプリンターを考える【続編】

前回の記事のような感じで後輩にオススメのプリンターを伝えたところ、要件が変更となってしまいました。つまり、検討やり直しということになるわけですが、情報をインプットしてやったおかげで要件を見直すことができたということだと思いますので、好意的に受け止めようと思います。

変更となった要件は有線LANです。これが必須ではなくなりました。なので、要件としては以下のようになっています。

  • A4カラー印刷
  • スキャナーの取り込みがキレイ
  • 接続は無線LAN
  • USBメモリとSDカードから直読み可能
  • それでいて安い
  • しかも仕様頻度が低くても壊れにくい
  • 色は白で

実は、有線LANという要件は、機種の絞り込みに有効で、高価格帯の機種に限定される機能なんですね。PCやMacとの接続はUSBか無線LANが基本で、有線LANは高機能な機種にのみ搭載されているような感じです。

ということで、見直した要件を考慮して比較表をアップデートしてみました。Canon TS6130はダイレクトプリントにまったく対応していないので対象から外しています。有線LANが必須要件でなくなったので、代わりにEPSON EP-810AWとbrother DCP-J572Nを並べています。

メーカー EPSON EPSON Canon brother brother
機種名 EP-880AW EP-810AW TS8130 DCP-J973N DCP-J572N
インク 6色独立 6色独立 6色独立 4色独立 4色独立
接続方法 USB
無線LAN
有線LAN
USB
無線LAN
USB
無線LAN
USB
無線LAN
有線LAN
USB
無線LAN
スマホ対応 EPSON iPrint
AirPrint
EPSON iPrint
AirPrint
Canon PRINT Inkjet
AirPrint
Brother iPrint&Scan
AirPrint
Brother iPrint&Scan
AirPrint
液晶モニター 4.3型タッチパネル 2.7型 4.3型タッチパネル 2.7型タッチパネル 2.7型タッチパネル
給紙方法 前面カセット2段
背面手差し
前面カセット2段
背面手差し
前面カセット1段
背面手差し
前面カセット2段
背面手差し
ADF
前面カセット2段
背面手差し
印刷解像度 5,760×1,440dpi 5,760×1,440dpi 4,800×1,200dpi 6,000×1,200dpi 6,000×1,200dpi
ディスクレーベルプリント
自動両面プリント A4/B5
レター
はがき
A4/B5
レター
はがき
A4/A5/B5
レター
はがき
A4/A5/B5/B6
レター
はがき
A4/A5/B5/B6
レター
はがき
ダイレクトプリント SDカード
USBメモリ
赤外線
SDカード
USBメモリ
SDカード SDカード
USBメモリ
SDカード
スキャナー解像度(主×副) 1,200×4,800dpi 1,200×2,400dpi 2,400×4,800dpi 1,200×2,400dpi 1,200×2,400dpi
外形寸法(W×D×H) 349×340×142mm 390×339×141mm 372×324×139mm 400×341×172mm 400×341×151mm
メーカー保証 1年(引取1,500円) 1年(引取1,500円) 1年(引取1,500円) 1年(引取2,500円) 1年(引取2,500円)
延長保証 5年/3,000円
(引取無料・修理半額)
5年/3,000円
(引取無料・修理半額)

以上のような候補が出揃いましたが、ここから絞り込むのも大変です。いくつかある要件の中で、優先する条件やその度合い、価格とのトレードオフなど、重視する点によって結論は変わってくると思います。

印刷解像度とスキャナー解像度

プリンター、スキャナーとしての基本スペックができるだけ高い製品を選びたいところですが、性能を示す数値に違いはあるものの、この数値が支配的な要素ではありませんので、正直なところ優劣は付けがたいです。というのも、例えば印刷品質で言うと、印刷対象の画像の色合いと各メーカーが得意とする色合いとの相性や、そもそもその色合いが自分好みであるかどうかなど、かなり主観に左右される評価ポイントだからです。

スキャナー品質においても、読み取った情報を補間処理するアルゴリズムや、JPEGなどに圧縮するツール(アプリ)との相性といった問題もありますし、こちらにおいても自分好みかどうかがポイントとなります。

ということで、印刷解像度やスキャナー解像度で製品を選ぶのは非常に難しいですね。

機能的に優れているのはbrother DCP-J973N

そこで、基本スペック以外の機能を見てみると、brother DCP-J973Nの機能が充実しています。EPSON EP-880AWもいい勝負をしていますが、brother DCP-J973NはADFを搭載していて、自動両面印刷でA5とB6にも対応します。ただ、A5やB6の両面印刷なんてやらないということであればオーバースペックですが、複数枚のスキャンやコピーを行う場合にADFは便利な機能ですので、あって損ではありません。

気になるところは、インクが4色であることと、液晶モニターが2.7型という点です。インクの色数に関しては、各メーカーの印刷品質に対する考え方の違いとも言えますので、多ければいいとか、少ないと悪いといった話ではありません。液晶モニターに関しては、大きい方がいいに決まってますので、EPSON EP-880AWと比べて劣っている点と言えます。実物を見ても、4.3型と2.7型の違いは歴然としてますので、液晶モニターでの操作を期待する場合は、重視する方がよいかもしれません。

価格重視ならEPSON EP-810AWかbrother DCP-J572N

これらの製品は、単純に価格の安い方からの2製品ですが、上位機種との価格差が大きいので、価格を重視する場合に選択肢として急浮上してきます。液晶モニターは同じ2.7型ですが、brother DCP-J572Nはタッチパネル対応である点が魅力です。

一方で、EPSON EP-810AWはダイレクトプリントでUSBメモリも対応しています。USBメモリでもらった写真をそのまま印刷みたいなシーンを想定している場合は、非常に重要なポイントになります。

総合力はEPSON

機能は多岐にわたりますので、全体を通じて見たときに、バランスが取れているのはEPSONだと思います。広く浅くと表現すると、あまり印象よくないかもしれませんが、必要な機能を多く盛り込みつつ、不要なところまで追いかけない感じが好印象です。また、外観のデザインも3社の中では最も洗練されているように感じます。

その他気になるところ

ここまでの検討で、あまり触れていないのが仕様頻度が低くても壊れにくいという点です。各社とも、壊れやすい製品を開発しているわけではないと思いますので、何らかの機能でどうにか解決できる問題ではありません。店頭の説明員さんは、ヘッドと一体化しているインクを使用する機種を勧めてくるのが流れですが、問題が出るのはヘッドだけではありませんので、これですべて解決したことにはなりません。ヘッドは、使用頻度が低いと故障のリスクが著しく高まる部分ではありますが、壊れるときはヘッドに限らず壊れますので、ヘッド一体化インクかどうかは重要でないと思います。

また、インクの種類として染料と顔料があって、顔料インクは耐水・高品質といった説明がなされます。確かに染料インクだと濡れてなくてもにじみが出る場合がありますが、インクジェット専用紙であれば、染料インクでもまったく問題ないレベルで印刷が可能です。また、黒だけ顔料になっても耐水性が高まるわけではありませんので、それほどアドバンテージは大きくないと思います。顔料インクは、普通紙に文字を印刷する場合に有利であることは確かですが、写真印刷を考えると染料インクの方が高画質化が容易なんだろうと思ってます。顔料+染料だったり、高画質をうたう機種では染料オンリーだったりしますので。

結論

いろいろと優柔不断な展開で説明してきましたが、1つに絞れと言われたら、EPSON EP-880AWをオススメします。brother DCP-J973NのADFも捨てがたいですが、各機能が充実していて、メーカーとしてのサポート力やブランドイメージも含めると、価格そのものは高いものの、コスパがいいと言えると思います。